2017年09月23日

2tの神輿


 ウチのリフォームを担当していただいた工務店の大将と世間話。
 大将の地元近くの町会では、お祭りのお神輿を新調したという。

「……こんどのは2tですわ」
「お神輿って重さで表現するんですか。
 このご時世に景気のええことですね」
「それがええことやおまへんねん。
 前のは1.5tでしてね、小ぶりなんですが綺麗な細工のええ神輿でしたんですよ。みなで機嫌よう担いでましたんですよ。ところがね」
「はい」
「周り近所から『あんなものは女子供の神輿や』と馬鹿にされましてね」
「はあ」
「それで2tを新築ですわ」
「ま、まあ、ごっつなったら威勢もええんでしょう?」
「それが重うなりましてね。当たり前ですけど。担げる人が集まらんさかい、一人頭の負担が増えて」
「えーっ。2tとなると……1人40kgぐらいが限界だろうから……50人ばかり要りますか」
「そない集まりませんねん。35人が一杯」
「えーっ。1人……60kg弱ですね。キッツイなあ」
「キツイですよ。
 30分で回れてたコース3時間掛かるようになりましてね」
「あきませんやん」
「ちょっと行ったら休憩ですわ。それも息を合わせて降ろさないとね、背の低い人下に敷いたらエライことなりまっさかい」
「そりゃもちろんそうですね」
「こないだタイミングが合わんくて3人ばかり転けましてねえ。腰の骨折って三ヶ月入院」
「あきませんやん」
「そんな話が広まりますと『ウチの大事な息子出せるか』言うて親が若い衆止めよるんですわ」
「僕でもそうします」
「ほなますます人が減って……」
「臨時でバイトとか雇えんもんなんですか」
「あきませんねんそれ。転び屋みたいなのが来ますねん」
「なんと。保険金詐欺?」
「ちょっと担いでゴロゴロ転けて腰いわした(壊した)どこいわした言うて喚きますねん。ほなほっとけませんでしょ? やれ見舞金慰謝料ぜんぶ町会から出さなあかん。せやからそういうことのないように、身元のしっかりした人に法被着せて、それ着てるもんしか担げないようにしとるんですが……人が足りません」
「プラッチックで作り直したらどうですか。ダンボールとか」
「ごっついエエ神輿なんですよ。
 でも担がれへんかったらねぇ……」

 国立競技場か。
 20000%やらんでええことをやって、そこそこうまく回ってた話が崩壊、という、近年の日本の縮図みたいなお話でした。
 ま15年、半世代も経てば当事者死に絶えて次の世代がゼロから考えてくれるでしょう。倉庫で死蔵されてるだろう2tをカーボンかなんかで匠リフォームして200kgにするとかね。
posted by 犀角 at 00:00| 雑記