2018年08月08日

本「「超」独学法 AI時代の新しい働き方へ」野口悠紀雄






 超といえば悠紀雄、悠紀雄といえば超、
 東大工学部から大蔵省に入省した大秀才・野口先生が語る独学法。
 もう読む前から「そんなのムリw」感漂いますね。

 お若い方はご存じないかも知れませんが、国家公務員一種試験合格いわゆるキャリアは上から人気官庁に配分され、当然最強は(いつの世も)金の握り手・大蔵省(現財務省)。そこへ行く、行けるということはその学年で日本で上から10番とか20番とかって秀才であり、つまり元々持ってる能力と(勉強)実績がスペシャルすぎる。
 とは言っても方向性だけでも、考え方だけでも参考になればと思い、紐解きました。

 10章立てですがポイントは7章、
「学ぶべきことをどのように探し出すか?」
だと思います。気になった方は書店でここだけでも目を通されると良ろしかろう(営業妨害
 突き詰めて言えば独学のメリットは「必要なところだけ得られる」点で、デメリットは「必要なところがどこかわからない」点です。
 教師や教材の存在意義はそこ一点であって、逆にそこを明らかにしてくれない教師教材はよろしくない。
 過去問、重要な2割の発見、まず高いところまで、本への書き込み。
 オーソドックスですが学習慣れしてないとそれも知らないものです。学校という機関はたいていそのようには教えてくれないので。独学ではないのだから当然ですけども。

 あとは8章「英語は独学でしかマスターできない」は示唆に富む。
 仕事で要るのは専門用語、文章丸暗記、聞く練習、webにある、通勤電車で(細切れの時間でも)。
 つまり英語に限らず、なんでもだいたいそうです。
 わたしが人様に言える技能は「日本語の文章をたくさん書く」という能力しかありませんが、それも寸暇を惜しんで書き倒してクライアント(発注者)に怒られ倒して得た技能で、専門機関(学校を除く)で学んだ経験はありません。
 でも相手のある文章は相手に伝わらなければ意味がないので、利害得失のない第三者には本質的に評価できないもののはずで、ということは悪いとこ見つけて修正する、というフィードバック回路が原理的に作動せず、ということは腕は上がらない。
 ということです。
 もちろん優秀な教師や教育システムは「ツボを」「その人に合わせて」指示してくれるので、短期的にはパフォーマンスぐっと上がりますけれども、それはそれで「そこを探る」という能力は上がらない。
 と、先生ショッピングが始まる。
 まあどんな仕事でも実働30年40年なので、その間それでしのげばしのげるので、それが悪いわけでもないか。

 あとの章は「独学素晴らしいよ」エピソードが多くて、偉人や著者本人のそれらの中にも参考になる部分も無くはないのですが、とりあえず読み物としておもしろい。
 少年の頃に近所の篤志家に本を読ませてもらっていたカーネギーが、功成り名遂げたあと2500もの図書館を全米に作る話など泣けます。
 回るもんですよね、そういう気持ちというものは。

 いい先生もいいシステム(学校、塾、講座その他)もなかなか巡り会いには運が要るので、まず独学で走り始めるのもいいと思います。
 ぼんやりとでもとっかかってると、先生やシステムの良し悪しも判断できましょう。

 野口先生の本はハズレ無いんだよなあ。
 それも独学で鍛えた「キモは何か」を見つける目のおかげでしょうか。

posted by 犀角 at 00:00|