2015年03月17日

映画「グランド・ブタペスト・ホテル」 監督ウェス・アンダーソン




公式サイト
http://www.foxmovies.jp/gbh/

 伝説のコンシェルジュと新米ロビーボーイのミステリー・コメディ。


 そのグスタヴとゼロが、ある老女の死とその遺産相続に巻き込まれドタバタします。全編コメディタッチの中にも「面白うてやがて哀しき…」の基調低音が流れてて、観終わってしっとりしました。
 コメディ一辺倒でもなく鉄板シリアスお涙頂戴でもない、アンダーソン監督のこのへんのさじ加減は絶妙というか、個性。他ではなかなか観られない。
 雪原でのチェイス&バトルの場面なんてどう観てもコントなんですが、ちゃんと映画の絵としても決まっている。ホテルも牢獄もすごくデフォルメされているのですが、現実味もある。このへんはセンスとしか言い様がないです。
 ロケ地がドイツの田舎町で、またここが素晴らしく絵になる。今更言うまでもありませんが、映画は絵作りが基本ですなあ。

 みんながグスタヴを助けるのですが、それはグスタヴが普段からみんなを助けているから。わかりやすい。

 しかしド派手な冒険も人生の1ページに過ぎず、時は過ぎ人は死ぬ。それでも人は生きていく。司馬遼太郎先生がよく、
「ふつう人間の一生で、他人に繰りかえし語るに値いする体験というのは、一つあればいいほうであろう」
と書くのですが、まさにこのお話はそれでした。グスタヴとそしてゼロの人生は「メンドル」のお菓子のように、そして二人の職場「グランド・ブタペスト」のように華やかで、そして儚い。
 爆笑も号泣もしませんが、だからこそいい映画です。

posted by 犀角 at 12:44| コンテンツ