2016年09月22日

映画「ソング・オブ・ザ・シー 海のうた」監督:トム・ムーア


http://songofthesea.jp/

 もし僕に幼い娘が居て、「『ポニョ』とどっち見せる?」と聞かれたら悩みます。
 (若干ネタバレあり)


 良くも悪くも上記公式サイトでイラストやトレーラーを観ての「想像通り」です。絵的にも話的にも「こうじゃないかな」な世界が展開していきます。
 だもので、僕みたいなスレ切った大人が観ると若干食い足りない。でもそうでないちっちゃい子ならこの世界に浸って楽しめるかもしれない。

 海から来た少女、というと我々には上記『ポニョ』という新しい神話があり、あの絵的にも話的にも狂気に満ちた(しかもアニメーション)作品とどうしても比べてしまう。そういう行為に意味はない、と言われても比べてしまうんだからしょうがない。
 あちらが評判の炉端焼き屋でムスッとした大将が次々に繰り出す海賊料理、イカの丸焼きからスペアリブから鮭茶漬けまで猛烈に旨い。常に何食べさせられてるかハッキリしない、でも「旨かったなぁ……」という感覚だけは強烈に残る。
 対してこちらはこじんまりまとまっててもちろん手のこんでる松花堂弁当で、味もぜんぜん悪くない。しかしあとから「こないだ京都行った時お昼何食べたっけ?」「えーっと……あそうそう、あそこのお弁当」という感じ。

 登場人物全員(犬除く)ラスト寸前まで不機嫌なのが、全体のカラーを重くしており、ちょっともったいないかな。人物造形がリアルというかおとなしくて、「そういうキャラの対比とか生臭いことを考えてる時点で商業主義に冒されすぎとる」と言われれば否定できませんが、しかしアニメなんだから多少エンハンス効いてる方が見やすかろう。
 ぶっちゃけるとシアーシャもうちょい可愛くした方がいいよね。ベンのアンビバレントな気持ちに説得力持たせるには。
 だからそういう考え方自体が……

 あと言いがかりに近い希望を言えば、「せっかく『アイルランド』てブランドなんだからもっと珍しいもの見せてよ」とか。日本のオタクはその島名を聞くと「すわケルト」と腰を浮かしてドルイド、モリガン、マビノギなどのキーワードが頭の中をぐるぐる廻るのです。
 まああんまりやりすぎるとキリスト教圏で通用しないという自制心か、あるいは実はご当地でも監督('77生)ぐらいの世代ならこのぐらいが精一杯なのか。
 我々だってこう偉そうに言ってて「ニンジャ、サムライ、ゲイシャ」と言われても特になにもできませんからね。全部まとめて「艦むす」みたいなノリがせいぜい。
 いや、むしろ食い足りないのは食べやすいからで、それはアイルランド製だからかもしれません。
 アイルランド一度行ってみたいなあ……と司馬遼太郎先生の『街道をゆく30・31 愛蘭土紀行』を書棚から引っ張り出す。

 といっても「非ジブリ非ピクサー/ディズニーのファンタジー・アニメ」は積極的に応援したいところ。シネ・リーブル@梅田スカイビルにて1800円出して300円の珈琲片手に観に行って、満足はしました。

posted by ながたさん at 23:01| 雑記