2017年10月16日

本「10倍速く書ける超スピード文章術」上阪徹




 主には「「素材」(独自の事実・エピソード・数字)を集めてそれを(うまいこと)並べりゃいいんだ」という作戦です。
 確かにそうかな、と一瞬思うんですが、でもよく考えると、人間が何か文章を書かざるを得ない時って、「書かねばならないこと」が既にあるはずで(もちろんその裏返しとして「書かなくていいこと」もある)、それをどう書こうか悩むから時間が手間が掛かる……わけですよね。
 たとえば研究論文とか。
 素材は揃ってるけどどうやったら一番巧く伝わるのかな?という点が悩ましいのではないですかね。
 なんかズレてますかね僕の感想。

 僕も昔はそこそこ速い方だったんですけど、
「速く書ける方法」
をツラツラ考えてほぼ唯一の手法は、
「書きやすいことを書きやすいように書く」
てことです。
 そりゃあたりまえだろう。
 この項自体がその実証で、上のパラグラフで本文に沿った感想文を書き始めて行き詰まったので、次のパラで自分の体験にシフトした。これならいくらでも語れる。
 どう?

 村上春樹先生の読書感想文の秘訣というのが、
「最初それっぽいことを書いたら、あとぜんぜん関係ない話を書く」
だそうで、これも似たような作戦かもしれません。

 そこから導き出されることで、この本にあるような
「ターゲット読者を決める」とか「本当に伝えたいことを理解する」、つまり、
「人に読んでもらおう」
と考えると、これが非常にしんどい。
 しんどいことは止めてしまうのが吉で、オレ・ノートに俺ツエー・ハーレム異世界小説を書き留めるように、好きなことを好きなだけ、書きやすいことを書けるだけ、書いて、あとは利害関係者にダメ出ししてもらって微調整するのがいいのではないか、と思います。
 プロじゃなきゃね。
 いみじくも本編にもありますが、結婚式のスピーチでだいたい泣かせるのは親戚のおじさんやおばさんの本当に心のこもった訥々とした挨拶であり、その前では多少巧いことやってのけようがカスみたいなもんス。いや、巧い分イヤラシイ。
 むしろ読者ポカーンと置いてけぼりでも、なんかこの人はこのことが言いたいんだな、とハートが伝わる方がいいのではないか、と思います。

 ああそうここまで書いてちょっとわかった、この本「速く書く」がテーマなのに最終的に「巧く書く」になっちゃってるんですよ。
 この両者は反比例しがち。
「よりよく伝えよう」と思った瞬間に時間が掛かりがちなので、(なんらかの事情で)「速く書きたい」なら「ついてこれないのは読み手が悪い」ぐらいの飛ばし方でいいんじゃないかな、と経験上思います。

 まあつまるところ、よほどの事情がないかぎり、「速く書こう」とか思わんでええですよ。
posted by 犀角 at 23:21|