2018年01月05日

本「UNIXという考え方」Mike Gancarz 監訳:芳尾 桂




 原題「The UNIX Philosophy」、UNIX哲学。

 わたしらの時代は幸せだったなあ、と感じる点はいくつもありますが、特に「コンピュータ」というものが人の生活に浸透していくプロセスを目の当たりにできた、これが知的におもしろかった。いやもちろん現在進行系ですけど。

 そのコンピュータと人間とのインターフェイスを司るのがOS、あまたあるOSの中でもUNIXは、いつのまにやら巨大な存在になっています。
(僕が大学生になったばかりの頃は、まだ研究機関御用達という感じでした)
 サーバ群で使われるLinuxもUNIXですし、MacOS/iOSも、Androidもまあ言えばUNIX、気がつけば組込系とスパコン、つまり上と下を除くカスタマーレベルではWindows系以外はほとんどがUNIX系になってしまいました。
 誕生70年代頭、以来ほぼ50年なぜこのOSがじわりじわりと多くの人々とマシンに受け入れられていったか、その秘密が書かれています。

 9つの定理と10のサブ定理があるのですが、乱暴にまとめて言ってしまえば
「一つのことをうまくやろう」。
プログラムはできるだけシンプルに、一つのことを確実にやってのける。それ以外の機能は別のプログラムに助けを求める。パイプやシェルスクリプトによって人間はそれらを自由に組み合わせて望む出力を得る。シンプルなプログラムは小さいのでメンテしやすいし別の機械にも移植しやすい。
 これあらゆる「道具」に当てはまりませんか。
 料理人も包丁を何本も鍋をいくつも持ちますが、そりゃ牛肉を捌く包丁とリンゴを剥く包丁は別の方がいい。
 そう考えると、UNIXの末っ子みたいなスマホも、「1アプリ1機能」みたいになってますよね。Facebookも、Facebookアプリの中でメッセージのやりとりができますが、別にFBメッセージアプリがあって、こっちの方が使いやすい。LINEなんかいくつ関連アプリがあるかわかんないぐらいです。
 いまじゃ大学生だってスマホ/タブレットで論文書いたりするそうですが、それは「お金が無い」とか「子供の頃から慣れてる」とかの他に、肥大化するPCアプリ、たとえばWordやExcelやPhotoshop、がすでに人間が反応できる領域を超えている、からかもしれません。
 というのは考え過ぎか。

 Small is beautiful.
 言うは簡単ですがそれがなかなか難しい。達成するのはまだなんとかなっても、維持するのが。
 なんとなく、みんながああだこうだ言いながら、ピンチになったら誰かが一からやり直したり、全く新しいことをやろうと思ってたけど結局それより古くからあるものをピシッと建て付け直して使ったほうが早かったり(使えるものは使え、もUNIX哲学)、すったもんだしながら様々なバリエーションを生みつついつのまにやら多勢を占めてる感じ、これ民主主義みたいです。
 逆か。民主主義強し、ということですかね。
 哲学が広く共有され、それをメンテする有志達が居れば。

 コンピュータに興味ない方でもものの考え方として汎用性あることが書いてると思います。
 おすすめ。
posted by ながたさん at 18:30|