2018年05月17日

It's so COOL. 日産・リーフ(2018y)


https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/leaf.html

 乗りましたぜEV。電気自動車。

 最近「電動車」は増えましたが、エンジンを載せずにモーター+バッテリーだけで走るクルマ(で日本で現実的に買えるもの)は、今もこれと三菱・アイミーブ、ミニキャブミーブしかありません。(あと外車ではテスラ各車とBMWi3、i8ぐらい)
 2009年にアイミーブが製造を始めて以来ほぼ10年、07年デビューのiPhoneが世界中の携帯電話と都市の風景を変えたのと比べると、なんだかEVの浸透は遅い気もします。
 EV時代てホンマにくるんかいな。

 乗ってみんとわからん、ということで重い腰上げて乗りに行きました。
 いや、先代リーフではさすがに経済性が合わない、と思ったのです。でも新型のweb見てると、「……いやこれは」と。

 同じ便益を違う技術で実現する製品──たとえばスマホとガラケー、たとえばCDとレコード、たとえば液晶とブラウン管──を比べる場合、3つほどポイントがあります。

 1 ものとしての特長
 2 使い勝手の差
 3 経済性

 この3点合わせた力量がどこかの時点で新しい技術側が圧倒して、ダーッと普及するわけです。
 で、リーフについて見ていくと、

1 ものとして
 静かで・スムーズで・速い。
 電気自動車でイメージするそのままで、まあよくできています。ガソリンでいうと3000cc級セダン、往年のビッグネームを出せばスカイラインやマーク2シリーズぐらいの快適性と走行性が、このミドルサイズで実現している。
 ギア(チェンジ)やトルクコンバータ、ターボなどの、「ドライバーの右足とパワーソースの間で邪魔をする要因」がほぼゼロなので、思った瞬間に思っただけの力が出る。これは内燃機関車ではほとんど味わえない快感です。(もちろんスポーツ走行用のタイトに作られたものもありますけど、それらは敏感に作られているので逆に普通に走る時は疲れやすい)

 これだけでも十分に価値がある。
 スポーティというのは、スピードが速いことでもレスポンスが敏感なことでもなく、イメージした走りができることだ(たぶん)。

 ただ、絶対値として異次元に速いか静かか、というと、そこまでではない。
 最近のガソリン/ディーゼル車もすごいんですよ。防音がしっかりしててノイズほとんど聞こえない。たとえば最近僕が乗ったクルマでいうと、マツダ・CX-8あたりが静かなクルマですが、あれはこれより静かかも。
 リーフは(おそらく)クラスなりの防音装備しかないので、ロードノイズと風切り音がわりと入ってくるんです。CX-8はその辺が小さい。ましてもっと大きなクルマや高価なクルマならより静か。

 とはいっても、「元々音量が小さい」のと「本当は音量出ているけど防いでいる」のでは、人間の感覚って敏感なもので、やっぱりちょっと違う感じがします。
 NC(ノイズキャンセリング)ヘッドホン/イヤホンはいますごく性能も良くてリーズナブルですが、やっぱり使ってみると独特の癖があって、静かな部屋で適度な音量でヘッドホン/イヤホンを楽しむ方が快適。

 速さの面でも、最近の特にターボ車は、回せば狂気を感じるほど速いので、そういうのが欲しい方におすすめできるか、というとそこまでではない。でもこれも、「欲しいだけの力がいつでも引き出せる」力強さと、「ものすごい力をなんとか引き出す」力強さでは印象というか感覚が違ってて、個人的には僕前者の方が、つまりリーフの方が好きです。

 慣れてくれば、おそらく多くの人が「こっちの方がいい」というと思うのですが。

2 使い勝手
 で、電気自動車で気になるところといえば、やはりバッテリ持ちそして充電回り。

 バッテリは、現行型は「200kmはまず大丈夫」だそうです。で、「かなり頑張ると300kmも出せる」とか。(カタログスペックやCM訴求は「400km」ですが、このあてにならないJC08表記はいい加減に廃止して欲しいですね)
 200あると大阪からだと名古屋まで行ける。
 週5日通勤する方だと、片道20km先まで大丈夫。
 後述しますが、最近は充電設備が一昔前とは雲泥の差で充実してるそうなので、そりゃさすがにガソリン・ディーゼル車ほどではないにせよ、だいぶ差が縮まってる感じ。

「持ち」というと、この「一走行あたり」とは別に、充放電サイクルあるいは経年で劣化する点が不安な方もおられましょう。風の噂に「リーフはバッテリがすぐダメになる」と聞かれたこともあるかもしれません。
 その点、日産は今回力ずくの解を持ち出してきて、つまり
「8年あるいは16万kmの早い方まで、バッテリの容量が8割を切ったら9割以上まで復帰させることを保証」
と来た。ほとんどの場合、この保証で大丈夫ではないでしょうか。

 ちょっと調べたのですが、このバッテリの劣化の問題は「電気自動車の」問題ではなくて、メーカーの、あるいは個々の車種の問題のようです。
 テスラのモデルS、出てからもうずいぶんになるのでそういうデータがだいぶ蓄積されてきてるのですが、相当酷いものでも残85%程度、ほどんどの個体が90%以上だそうです。
(参考)
http://ev-owners.jp/blog/blog.cgi?id=6509
(3年10万km走って残存値97.2%)
http://tarorin.com/04_ev/2016/11/battery_degradation_tesla/

 テスラのバッテリは18650という乾電池でいうと「単3」みたいな筒状の規格型を並べるという構造で、最初聞いた時は「なんてプリミティブな」と小馬鹿にしかかったのですが、どうやらその構造の肝はそうやって並べた電池の間に水路を設けて水冷(温)する点にあったようです。
 リチウムイオン電池は高温・低温に弱く、しかもその弱さというのが「40度超えると電気入りにくい」とかそういうかなりセンシティブなもので、温度管理がたいへん重要なようです。
 テスラはそこでコストとリソース(重要や容積)を掛けている。日産はそこは捨てて「減ったら取り替えまんがな」と。取り替えた古いのを活用するためのルートもある↓
(フォーアールエナジー)
https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1113629.html

 電池によっても違ってて、同じリチウムイオンでも充放電サイクルの多さと急速充電耐性の高さが特長の東芝・SCiBというのがありまして、こちら三菱・アイミーブのあるグレードに載ったのですが(現在は終売)、こちらにお乗りのユーザーさん、6年8ヶ月で8万キロ走ってもほとんど劣化してないそうです↓
http://evnews.blog.jp/archives/31452198.html

 ということで、最悪減りゃ換えてもらう方向でなんとか。
 電池はいま日進月歩で性能上がっているので、数年経てばすごいのが出てきてるかもしれませんね。

 さて充電器。
 いまはスマホ用のEV充電設備検索アプリがいくつもあります。セールスさんが見せてくれると、場所が大阪市内ということもあってかバーッといっぱい出る。「へーっ」と声も出る。こんなに。自分に関係ないものって見落とすんですねえ。
 もちろん日産ディーラーの多くに既に24H使える急速充電器があり、高速のSA・PAもメジャーなところはほぼ完備。検索アプリではその充電器使用中かどうか、いつ終わりそうかなども見れるそうで、もし使用中でも「ちょっと待つか」「スキップして次のSAへ」などの判断もしやすいそうです。
 スマホ万歳ですな。
 充電器には全国どこでも使える充電カードがあって、日産の場合(ほぼ)使い放題で月2000円です。
 年間24000円と聞くと「けっこうな額じゃないか」と思われるかもしれませんが、現在レギュラーガソリンが140円/L程度ですから、170L程度。クルマにもよりますが20km/Lをコンスタントに叩き出せるトヨタ・プリウスをもってしてもわずか3400km分です。
 電気代換算だともうちょっと多くて、24円/kWh程度の価格で計算すると1000kWh程度、リーフの電費は9km/kWhぐらいだそうですので、9000km分。こうなると「家に設備があってもむしろ充電に行く」ぐらいの運用をしたくなりますね(笑

 戸建てのおうちに200V充電用コンセントを引くのは数万円の電気工事で、多くの日産・三菱ディーラーでは購入時にサービスしてくれる模様。
 また、お家で充電するのに慣れると、ガソリンスタンドに行くのがものすごくめんどくさくなるんですって。
 最近ぼくクレジットカード支払いをよく使うのですが、確かに使い始めると現金触るの面倒になりました。現金ばっかり使ってた時はそれが面倒なことだなんてこれっぽっちも思わなかったんですけどね。

 担当セールスさんのお客さんに、クルマで送迎の仕事をされてる方がいて、走行月に1万キロ年間12万km。なんと家や事業所では充電せずに外の充電器ばかり使用。これで燃料代は24000円ぽっきり。
 前車がフーガ、リッターで6kmとか7kmもちろんハイオク、というクルマだったこともあって、年間200万円とか浮いちゃってEV万々歳。
 この方はかなり特殊なケースですが、走れば走るほどお得になる、のがEVですね。

 お得といえばEVは
「オイル&オイルフィルタ交換不要」(1回5000円程度、少なくとも年1回はやりたい)
「ブレーキパッド/ローターが超減らない」(回生ブレーキで減速するので)
「鉛バッテリが無いからそれも交換要らない」(ちょっといいのだと1個2万、環境にもよりますが5年は難しい)
「タイベル?ウォポン?なにそれお菓子?」(消耗品。このへんは部品代もさることながら工賃がバカにならない)
ということで維持費が超安いそうです。
 あと自動車税も「1000cc未満」扱いで(そりゃそうだ)29500円と普通車の中では最もお安い。
 自治体によっては(たとえば東京都)さらにそれらの税金の優遇措置がある場合もあるのでさらにお得。

3 経済性
 と、だいぶお金の話に食い込みましたが、で、それがナンボなの、と。
 テスラ・モデルSみたいに「900万スタート」なんて言われたら「はい解散」ですが……
 よく売れる真ん中のグレードで350万です。
 これに補助金が40万出て310万、ちょっとオプション付けて(LEDヘッドライトとか)気持ち値引いて貰って乗り出し360万とかそこいらですかね。
「高っ」
と思うわけですが、実はこのへんが最近の「エエクルマ」、ちょっとキラッとしてるクルマのボリューム・ゾーンなんです。

 同じ日産なら早速大人気のセレナ・ePower。
 トヨタ・プリウスのPHV。標準プリウスならオプションモリモリ。
 三菱・アウトランダーPHEV。
 マツダ・CX-5だとFFならディーゼルいけます。ガソリンならLパケいける。
 スバル・インプレッサ/XVだと2000にAWDでいろいろつけれて。あるいはレヴォーグやWRX・S4も可。
 外車ならもちろん鉄板のVW・ゴルフ。
 BMW・ミニもいいですね。

 いずれ劣らぬ魅力的なクルマ達で、もしいま僕が乗り換える理由があって手元にそれだけの予算があれば、もうこのへん見比べてのたうち回って迷うなあ。
 逆に言うと、これら綺羅星の中に入れてもじゅーぶん選択肢のひとつに入ります。
 むしろ個性の点では最右翼かもしれない。
 CX-5やミニだと知人と被る可能性大いにありますが、リーフは(まだ)被らんでしょう。


 ……とまあそんなこんな、長々書いてきましたがつまるところ、
「欲しいならもう買ってもええんちゃうかな」
と思いました。ちょい割高・ちょい運用に工夫が必要、ですが、それを補って余るぐらいには「未来きたこれ」感がちゃんとあります。
 実はこの試乗の次の日に、メルセデス・ベンツのC200(もちろん2018y)に乗る機会があって、これもめちゃくちゃいいクルマだったのですが、「どっちかもらえる」となったらこの200万高い(530万〜)ベンツとの間でずいぶん悩むと思いました。
 リーフかも。
 そりゃお前さんはね。

 ただ個人的には、初代(先代)リーフのデビュー時から思うことですが、いささか「普通」を意識しすぎてて、それがもったいない気がします。
 電気使ってモーターで走る、というのはたいへんCOOLな体験で(物理的にも)そのカッコよさやイケてる感じ、これを商品全体で演出するのがちょっと足りてない。
 たとえばテスラの、モデルSがクラスが違うというなら(なかなか出荷されない)モデル3とか、このインテリアをご覧あれ↓
https://www.businessinsider.jp/post-100548
 これがええかどうかは別にして、「あなんか違うのきた」感は高い。
 最近のドイツ勢はメーター類がディスプレイになっててシフトレバーが変な所に小さく生えてますが、これらもいいかわるいかは別にして「あたらしい」とは思います。
 日産はこれからEVのヴァリエーションを増やす、と宣言してるので、まリーフもいいんですけどもうちょっと派手なプレミアム・モデルか、あるいは逆に、ハイト系軽ワゴンの床に電池敷き詰めたような道具タイプ、でできれば専用エクステリアの、があるとぐっとくるんじゃないでしょうか。そうやって大中小あると中のリーフも選ばれやすくなるような気がします(有名なセールスTipsですね)

 日本勢はEVシフトに乗り遅れるのでは、という観測がちらほら聞かれますが、王者トヨタさんも夢の全固体電池にかなり目処が立ってるくさいですし(あそこは滅多なことは口に出さない三河武士だよ)、マツダに至ってはなんにもしてないふりをして、実は彼らが最も血道を上げているのが「デザイン」と「人間が感じる動質の向上」すなわちEVだろうがガソリンだろうが変わらない点で、Wintelパソコンがそうなったように
「電池とモーターはティア1(おっきい部品メーカー)から買えばいい」
ぐらいの気分なんではないですかね。いまやトヨタ系(トヨタ、ダイハツ、スバル、スズキ、マツダ)とくくるとすごい台数になりますしね。

 ただ、あからさまに自動運転と相性が良さそうであり、むしろ電気自動車と人力で動かせる期間はごく短いかもしれません。現にスマホで遠くからリーフのエアコンだけ入れて冬/夏乗る前に温める/冷やす機能があり、もちろんエンジン車でもディーラーオプション2万円ぐらいでそういうメカあるんですけど、しっくり感が全然違う。
 そのうちシェアライドとも絡んで、
「呼べば(自動で)来てくれて、乗り捨てれば(自動で)帰ってくれる」
ようなシェアEV時代になったら、以上のようなことは考えるのもムダなことで、
「Spotify流しっぱなし」vs「レコードを収集」
ぐらいの差、つまり
「所有するからにはエンジン車を手で動かす以外ありえん」
というような世界に、意外と早くなっちゃうかもしれません。

 タイトルに書いたようにリーフの運転はすごくCOOLな経験なんですけど、運転に(すくなくともクルマ好きが)求めるものはCOOLさですか?
 HOTさですよね。

 とかなんとか考えると「や、やっぱりエンジンをMTで操っておかないと」という焦りに似た感情が芽生えて悶々として暮らすのです。
posted by ながた at 19:58| クルマ