2018年08月01日

本「残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する」エリック・バーカー




「評論」がにぎやかになれば「評論の評論」も生まれます。
 同様に、成功法則の本が売れれば成功法則の評価本も生まれる。
 よく言われる「こうすれば」に対して、「ホンマか?」と疑問を感じた著者がコツコツ調べ上げた成果です。

 成功するにはエリートコースを目指すべき?
 いい人は成功できない?
 勝者は決して諦めず、切り替えの早い者は勝てない?
 なぜ「ネットワーキング」はうまくいかないのか
 「できる」と自信を持つのには効果がある?
 仕事バカ……それとも、ワーク・ライフ・バランス?

 気になりますね。
 ざっくり言えばどの項も「どっちも居る」ということになって、毎項バランスの取り方を苦慮しながら提示してくれているのですが、そこは正直蛇足、というか言えば言うほどわけがわからなくなる感じで、「ま、あんまこういうこと気にすんな」というまとめの方が良かったように思います。
 たとえば「セルフ・イメージを持つ」というテーマに関しても
「持つといいけど、変なのを持つと逆効果」
みたいな「いやそりゃそうだろ」な話になるので……
 ただしそこに至る実例の「おはなし」のところはおもしろい。よく知ってる話も散見しますが(ジョブズがスカリーに言い放った「この砂糖水!」のエピソードとか)、ジョー・シンプソンが奇跡の生還を果たしたある「工夫」、カンフー狂マット・ポリーの大挑戦、天才数学者ポール・エルデシュの驚異のネットワーク。

 原題『Barking Up The Wrong Tree』。
 間違った木に向かって吠える──ぼくのよくやってることですが──ことをしてても成功はおぼつかない、と懇懇と諭してくれるおせっかいな本なのですが、しかし読み進むにつれ、上に挙げたようなこの本に出てきている人たちこそ、突然、誰もが「それは間違った木だ」と思う木に吠え始めて、「木が狂っている」と思われた人たちではないでしょうか。ちゃうかな。

 世にはおもしろい人がいるものです。すごい人やお金を稼ぐ人にはなかなかなれなくても、「おもしろい人」にはなれるんとちゃうか、勇気さえあれば、とそんな楽しい勘違いを引き起こしてくれます。
 この暑い中読むと、いいかんじに力が抜けますよ。
posted by ながたさん at 15:12|