2018年08月17日

スバル・フォレスター(XBREAK)&インプレッサ(2.0iL-EyeSight)試乗




●公式サイト
https://www.subaru.jp/forester/forester/
https://www.subaru.jp/impreza/impreza/

 あまりに暑かった日に、確かあのへんに「やまや」があって美味しい外国のシードルが売ってるはず、とクルマを走らせると休業中でしょうがないのでスバルに駆け込んでデビュー仕立てのフォレスターを観ました。
 言い訳臭い?
 スイスポの時もそんなこと言ってなかったか。

 ええですね。
 グローバルでは一番売れてるスバル車はこれになるそうで、気合い入ってる感じが頼もしいです。昨今珍しい、意外にスクエアなボディは特に荷室を広大に見せており、さすがにスバルは荷室の造りが上手い。

 走り出すと大柄を感じさせないステアリング・脚ともに軽やかなセッティングで、ああこれホントアメリカの郊外(冬は若干寒い)で奥様がスーパーに向かう足にはピッタリだわ、という感じ。
 都市部に住んでると忘れがちなのですが、降雪・降雨の激しい場所は世界中にたくさんあって、そういう場合安くて高性能4WDのスバル車はありがたい。
『TOP GEAR』でナイル川の源流を探しに行った時も、リチャードのインプ・ワゴンがボルボ・850エステートやBMW・5ツーリングを牽引しまくる大活躍でしたからね。(その代り最後のグラベル高速セクションでサスペンション折れ倒す)

 つまり見た目よりずっと優しい乗り味で、GORE-TEX張りのトレッキング・シューズを街中で履いてても、デザインもカッコイイし急な雨でも濡れないし、いいね、と。
 ただしそのー、そうはいってもちょっと「ふつうっぽ過ぎる」んじゃないかなあ、とは思ったり。
 この方向、アーバンギア・トールステーションワゴンで行くと、最大のライバルは言わずと知れたベストセラー、マツダ・CX−5で、価格も同じ四駆2500だとピッタリ合わせてある。
 あっちデビュー即に乗りに行きまして、こりゃぁエエクルマやと。
http://rakken.sblo.jp/article/180853003.html
 すごい洗練されてるんです。しかもあちらは1年でエンジンの改良まで入れてる(こちらはまだ未乗)。
 もちろんスバルも年次改良入れてくので、重篤なスバリストたちがA型だB型だとインフルエンザか肝炎のように話題にしてるでしょう? だからどんどん良く……良く? 方向性の違いじゃないか?

 つまりイメージからすると、もうちょいとタフギア方向のが。
 ではなくこのソフト路線行くなら「CX-5に勝つ」をハッキリさせないと。広告・宣伝の方向も含め。

 そんな表情を見抜いたか、あるいは会話の端々に飛び出る変態車種の名が響いたか、担当セールス氏、彼がまた若くてそのくせ昨今では珍種の「クルマ好きが高じてセールスなりました」タイプで、
「ではながた様ぜひこちらも」
とオススメされたのが上記、インプレッサの2000のAWD。もちろん5ドア、グレードはソフトなLの方。

 これは良かったッス。
 なんかね、懐かしい。(今シーズン2度目)

 新プラットフォームの「SGP」、いい、いいとは聞いてましたがより車重が軽く重心の低いインプの方がフォレスターよりハッキリ良さがわかります。
「いやーすごいなー」
という感じで、このCセグ・ハッチではもちろんVW・ゴルフ7がベンチマークなわけですが、これゴルフに部分的には勝ってないか?ぐらいの勢い。
 シャシーだけではなく、大排気量NAエンジンのナチュラリティ+こなれたCVT(富士重のCVTは世界初ゥウウウウ)も加味すると、
「いや、普通の人にはゴルフよりこれだろ」
と薦めたくなるぐらい。
 いままではそのポジションにマツダ・アクセラが居たわけですが、モデル末期であることとガソリン車が若干アンダーパワー(1500しかないので)のを鑑みると、デザインさえ納得できればインプの方がいいかも。

 AWDは要らない?
 なにをおっしゃいますか、スバル買うのにAWDにしないなんて、札幌に行ってビール飲まないようなもんスよ。それでも十分だけどそうするともっといい。詳しくご説明申し上げますと縦置き水平対向エンジンというのは以下略
 試乗コースにゆるいSカーブのある上り坂があるのですが(南港通の帝塚山のとこね)、ちょうどジャストタイミングで雨が落ちてきてて、もう4WDの威力炸裂、後ろ足が蹴っ飛ばしてる感じ、前足も踏ん張る感じ、この安心感は実に嬉しい。
 FFなら1600でいいと思う。

 新型インプはスバリストたちにも好評で、
「インプが出てからレヴォーグがぱったり止まって……」
とSTIモデルを前にしてセールスさんも苦笑い。
 いや、いまから買うならSGP車以外ありえない。いまだとインプかフォレの2択です。
 今回のデザイン・パッケージは、先代以前に比べて5ドア(ワゴン)のバランスが劇的に改善されており、長いホイールベースに短く切り落としたリア・オーバーハングが、古き良き時代の欧州車のようです。
 昔乗ってたシトロエン・エグザンティアを思い出したよ。

 見た目のイメージと逆で、インプレッサ(の2000AWD)がコアなクルマバカ向き、フォレスターがファミリーの皆様向き、という感じです。
 でもまあどっちもいいクルマよ。


 いま日本勢でクルマ好きに好まれる、というと、スズキ、スバル、マツダの3社になるかなあ、と思うのですが、3社とも乗ると、最新のモデルなのに「懐かしい」というか、「そうそうこれこれ」感が高いです。
 クルマは、機械あるいは物体としてはもう90年頃にサチュレートしてしまっている、というのが僕の見立てで、具体的にはVW・ゴルフ3とトヨタ・カローラ100系です。それだけではなく特殊カーの方もセルシオ、GT-R、NSX、ロードスターのバブル・カルテットにパジェロ、レガシィ、K11マーチ、ビートと30年後の今見てもどう見ても名車、が揃い踏んでおり、じゃこの30年何してきたかっていうと効率(燃費)と安全性能を、機械的能力を落とさずにいかに高めていくか、ということしかやってないように思えてなりません。
 しかし人間の意識の中心というのは1点なので(だから中心というのですが)、大きいメーカー、その主戦場で世界の大ライバルと戦わざるを得ないメーカーになればなるほど、日本で具体的に言うとトヨタ、日産、ホンダですね、効率と安全とインフォエンタネットなんとかかんとかに血道を挙げてエース級を投入して、で走りとかおろそかになる。
 ちっちゃいメーカーはそんなことやってたら普通に死ぬので、まず「走って楽しい」は死守。乗って「いいね」と思ってもらえないと選択肢にも入れてもらえないですからね。あと商品力でなんとかしようと頭を捻りながら、いま話題のところはなんとか後ろから付いていく。後ろから付いていくのはコスト安いですからね。
 だからクルマ好きがすがりつくんじゃないですかね。
 じゃないとジムニーに注文殺到したりしないですよ。あんな特殊作業車に。みんなジムニー買ってるんじゃなくて、「クルマ」が欲しいんですよ。道具でも、日用雑貨でも、デカいiPhoneでもなく。

 漏れ伝わるところによるとスバルでももうEyeSightの自社開発を持ちこたえられないらしくて、そりゃライバルのモービルアイはイスラエルの軍事企業でいまIntelがパトロンなんで、無理ッスよ。
 スバルのウリはEyeSightそのものではなく、EyeSightのようなものを開発しようという姿勢と、それを全車標準で付けようという意気込みと、そういうものが安心に繋がるような悪路へ行けそうな雰囲気と……なので、無理はしなくていいと思います。

posted by 犀角 at 15:51| クルマ