2018年09月14日

本「ラクガキ・マスター」寄藤文平






 この絵柄見たことございますでしょう、JTの「大人たばこ養成講座」の人ですね。

「落描き」と言っても絵心が無ければ……なんて思ってしまうことこそ、なにかがおかしい。子供の頃は誰もが描いていたはず。その時の感覚をもう一度再起動させて、「らくがくたのしみ」を思い出させる一冊です。
 抽象概念を振り回すのではなく「ここをこうすればいいよ」と具体的に書かれているのが何よりいい。
 置き換える、新しい人体模型、キャラクターの作り方、イメージの育て方。
 各段シンプルで見開き2pずつ、って感じなんですけどこれが、いやだからこそ、「こうですよ」って見てるだけで描けるような気になってくるこの不思議。
 初版09年で私の買ったのは16刷、売れるだけのことはあります。

 レッスンテキストではなく寄藤さんのイラスト集としてもOK。
 特にご本人も言う「人間の描き方」──締まる、ゆるむ、力む、脱力する、傾く、ねじれる、あるいはその組み合わせ──のところは「うわホントだ」と納得感も高い上に絵がコミカルで笑えます。

 全段通じて思うのは、やっぱり説得力ある絵を描こうと思ったら、ある程度構造と言いますか、「どうなってるのか」をベースに組み立てていった方がいい。
 ただし、その考え方はいくらでも深く掘っていけるので、「気持ち悪くなる」手前でUターンする。できるだけ掘らずに済むようにいつも意識する。シワを描きすぎない、筋肉を描きすぎない。
 見た目の印象と物体としてのリアルと、両方の視点から見ていまどこに居るか、を意識する。

 難しいですね(笑)
 上記は僕が勝手に言ってることです。

 ああそうそう、それはそのとおり、と膝を打ったのが、
「イメージが絵になるのではなく、絵がイメージをつくってくれる」
 これは小説なんかもそうです。
 ぼんやりした話の筋のまま書き始めると、書いてるうちになんだかくっきりしてきて走り出すんです勝手に。そうなればしめたもの。
「ええの描こうと思ったらあかん」
とよく言われますが、それはそういうことで、つまり絵というものは「描きながらよくする」ので、「ええのを描く」と思ったら、いつまで経っても描けません。それは一発書きに見える水墨画とか抽象絵画とかでもそうだと思いますよ。

posted by ながたさん at 15:57|