2019年02月05日

何を言ってもだいたい馬耳東風顔で聞き流される私。「説得力が欲しい。魔法のような説得力が」と手に取ったのは名手の、大谷翔平の、村山実のVTRでした。



・本『神田松之丞 講談入門』神田松之丞
・CDムック『やる気が出る外郎売CDブック』
・本『話芸の達人』戸田学



 神田さんはなにかの折に音源聞いて、「ああパンチあるなぁ」と覚えてて、ご本見かけたので読んでみました。講談の名席のあらすじから、講談師の生活、伝説の師匠方の思い出まで、盛りだくさんです。

 ぼくは「古典を現代に」な企画が壁に当たるのは、言葉遣いなどのフィジカルな問題ではなく、価値観のズレが埋めきれないからではないかと思っています。
 落語の命脈が続いてるのは「笑い」が計測可能量なので、それを頼りに、ウケないところ削ってウケるところ伸ばす、という技が使えるからではないか、と。
 講談の場合は「感動」特に「カッコイイ」という感覚が時代とともに変化するので、ここをアジャストするのが難しいだろうな、と思います。

『外郎売』はYouTubeでいろいろあります。たとえば↓
https://www.youtube.com/watch?v=Hi46QVIyUdg

 ぼく小学校で落研だったもんですから『寿限無』いけますよ。あれ落語演者の初心者訓練用によく出来てて、前段でご隠居が一節一節意味解説してくれるので、覚えやすいんです。『外郎売』はもっとバラバラの言葉の響き優先の早口言葉みたいなフレーズが多いので、はるかに難しそう。

 まあ滑舌悪くても三四郎・小宮さんとか諸見里大介さんとか、むしろそれで笑いとってる方がいるご時世ですから、いいや。

 戸田さんのご本は西条凡児・浜村淳・上岡龍太郎という関西のしゃべり好きにはたまらないセレクション。ぼくは凡児先生はほぼ記憶にない世代なのですが、後ろ二人、もちろん浜村さんは現役バリバリですし、上岡さんは多感な若者時代、常に耳に入ってきた声と話芸でした。『ラブアタック』『花の新婚!カンピューター作戦』『ノックは無用』『パペポTV』そして『ナイトスクープ』。締まるんですよね、番組がピリッと。特にノックさんや鶴瓶さん、小枝さんみたいなぐにゃぐにゃした人と相性抜群で、タコとキュウリの酢の物のようにおたがいを引き立てあってました。でも辛いだけじゃなくて愛する阪神の話になると完全にキャラが崩壊したり、バカにしてたマラソンを始めたらなにをさておいてものめり込んだり、チラチラ見せる愛嬌がまた可愛げがありました。
 早い引退が惜しく、いますぐにでも戻ってきてもらいたいものですが、まだ力のあるうちに、が上岡流ダンディズムなのでしょう。

『パペポ』で鶴瓶さんと「襲名披露っていいよね」という話題になり、「何やったら継ぎたいです?」と問われて上岡さんが出した例が西条凡児さんでした。
 むしろ(特に関西に)必要なのは二代目上岡龍太郎だ。
 辛口や愛嬌はともかくとして、「博識」ってファクターがネックですねえ。

posted by 犀角 at 00:00|