2019年03月05日

「ちょうどいい」は性能! マツダが放つ新型SUVにはセールス感涙ユーザー歓声、さあみなさんご一緒に井之頭五郎、「こういうのでいいんだよこういうので」。その名はCX-30!


https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1173131.html

「サーティ?」

 丸本社長がのたまった時に真顔で聞き返しましたよ。一桁だと思ってるじゃん。

 特に国内(と欧州)ではちょうどいいサイズです。長さ・幅・高さ・排気量。CX-5はミドル級の世界標準なのですが、ちょっと大きいしちょっと高い。といって現行のCX-3では小さすぎる(特に後席・荷室)。売り手・買い手ともに待ち望まれてた商品ゾーンではないかと思われます。事実国内のトップセラーにこのポジション(コンパクトSUV)のクルマ2台、トヨタ・CH-R、ホンダ・ヴェゼルが君臨しており、スバル・XVも堅調。三菱・エクリプスクロスは国内ではイマイチですがモノは評価高くてワールドワイドではいい出足。「いま最も旬なジャンル」と言えましょう。市場ど真ん中へ直球で勝負です。

「売る」、言い方を柔らかくするなら「受け入れられる」ことにフォーカスしたからか、「魂動」デザイン車にしてはかなりコンサバな姿。ノーズの長さがボディ全体長に対して長い、つまり「鼻が長い」のが「魂動」デザインの特徴だったのですが、ボディ後半のボリュームが大きいゆえにはあまりそう見えず、良くも悪くも目馴染みがいいカタチ。
 ここにはCX-8という先例があり、これも同様にボディ後半部が大きく、ゆえにデザイン・ベースのCX-5よりもむしろバランスが良く見える(と感じる人も多い)。少なくとも「胴が長くてカッコ悪い」という不平はあまり聞かないので、このぐらいでもGOが出たのでしょう。
 それでもベースになった(であろう)新型マツダ3からホイールベースを縮めてくるあたり、マツダ(のデザイナー)は意地っ張りというか生真面目というか。

 コンパクトSUVについて。
 僕も以前は「SUVならミドル級以上でないと合理性がない」などと言ってたクチですが(一応車歴にホンダ・初代CR-Vというミドル級SUVがございますぞ)、昨今のクルマは衝突安全などなどの理由で全長全幅ホイールベースがむやみに大きくなり、特に皮がブ厚く、でっかいクルマだと思って乗り込んだら意外に狭い。
 特に日本人はミドル級箱型ミニバン(ヴォクシーやセレナなど)や箱型軽(N-BOXなど)に慣れていますので、ああいう大空間乗ってるとセダンやハッチバックは「こんなに薄ら平たデカイのに、なんでこんな狭っ苦しいんだ」と感じるかもしれません。
 そういう人にとってはスタンダードなこのサイズ(Cセグメント)でも最早、いやCセグメントだからこそ、高さ方向にスペースを稼げて結果として広く感じるSUVこそ、「標準」車形なのかもしれません。
 セダンはフォーマル・スペシャル、ハッチバックはスポーツand/orパーソナル・スペシャル。以前はCセグといえばセダンを基本にハッチ、クーペ、ワゴンと並んだものですが(例えば90系カローラを想起されたい。それぞれFX、レビン、カロゴン)クーペとワゴンを足してセダンから主役を奪ったものがSUVという感じです。

 あとはファッションでもアウトドア系のブランド、ノースフェイスだとかモンベルだとか、に一定の存在感がありますが、機能的で・値頃で・派手(であることに一応理由がある)、というのはやっぱり商品として売りやすいし買いやすいですね。といってももちろんガチで山登りするわけでもないので、東京だったら高尾山、大阪だったら金剛山にハイキングに行くのに、スバル・フォレスターまでは要らない、みたいな。

 もうちょっと言うと、以前Cセグメントは「合理性」こそが最大の希求ポイントで、バランスよくなんでもできます、がウリでした。
 ところが人々のメンタリティは時代とともに変化する。カーシェアや配車アプリ等々の広がりもあり、経済・環境問題もあり、そもそも「クルマを所有する」ことそのものがすでにかなり非合理です。で、非合理なことをしてるのに、商品選択だけ合理的もへちゃらもない。
 そういう時代なのかもしれません。すべからくクルマであるならばどんなジャンルでも、必要な「道具」ではなく、欲しいと思わせる「商品」でなければ、という。腕時計みたいに。

 あと時代的に言うと「バズる」のも大事で、「薦めやすい」クルマが有利ですな。
 これは薦めやすい。友人知人が「手頃な1台欲しいんだけど」と聞いてきたら、
「CX-30、ガソリン2000FFのAT、色は赤オススメだけどお好みで」
などと答えそうです。
 というかこの脱力感、
「雪道行かんから四駆要らんなぁ」
「そんな距離乗らないからディーゼルじゃなくていいかぁ」
というところこそが、この30のウリかも。
 車名のハズれ(ハズし?)感も含め。
 オサレスーツに身を固めたイケメンがズラリ並ぶいまのマツダ車の中で、以前プレマシーやベリーサやレビューやキャロルが受け持ってた、ホッとする系ポジションかもしれません。
 それが一番売れたりしたら、「なんだったんだ」ってことになりますけど。
 いや、垢抜けたフリしてますけどマツダはファミリアの会社、なんとなくポジション的にもシルエット的にも、現代に蘇った赤いファミリアBD型のようだ、とまで言うとまだ試乗記も出てこないクルマに対して褒めすぎか。

posted by 犀角 at 00:00| クルマ