2019年04月03日
911の棒
まずは写真を1枚。
https://car.watch.impress.co.jp/img/car/docs/1177/689/html/008_o.jpg.html
(元記事 https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/1177689.html)
新型ポルシェ911のシフトレバーです。
「ATのシフトチェンジは電気信号送るだけなんだからスイッチみたいなのでもいいのでは?」
というアイデアは昔からあって、押しボタン式は50年代のアメ車に既にあります。最近ではホンダがご執心でアコードから上はボタン式。ボタンでなくても小さなレバーをどこかに生やして指先で操作させるのもよくあります。代表例はプリウス、それからメルセデス各車。
ウチにもそのメルセデスが来たんですよ2013のA180。弟が譲ってもらって。
僕も借りて乗って、なんか物足りない。
自分のデミオに乗り換えたりしつつよく観ると、僕は信号待ちなどでシフトレバーに左手を置いてて、だからシフトレバーがセンターコンソールに突っ立ってないと、寂しいみたいです。
あれはひょっとすると男根、心理学用語で言うところのおちんちんなのかもしれません。
男の子はちょっとしたスキにポジションを直したりして、なんとなく安心したりするものです。
まあそれでなくとも、「棒状のものを操る」というのは原始的な身体性を惹起する行為で、棍棒で、あるいは銃や弓を使って敵や獲物を倒したり、鍬・鋤や鎌を使って農作業をしたり、竿を駆使して魚を獲ったり、麺棒みたいなので調理したり。
なので、ステアリングという手綱の他にも、操るべき棒がもう一本ぐらいあってもいいんじゃないかなあ、という気もします。
クルマというのはこのIT社会においては相対的にたいへん原始的な機械装置になってしまっており、中東から船で運んできた油を爆発させて人間を100キロで走らせる、しかも制御は全手動、という極めて危険なシロモノで、その危険さを、自動車メーカーは一生懸命こうして漂白しようとしているのですが、むしろたいへん危険なものだからこそドライバーはしっかり覚悟して乗るべし、と思わせた方がいいのではないか、と思う所存であります?
そこまでラディカルな話をせずとも、そもスポーツカーというのは非合理的・非効率な物体であり、
「ATの方が速いし効率的」
とか言い出したら
「テスラ(EV)の方が加速速いし燃費(電気代)もバカ安」
もっと言えば
「新幹線乗りなさいよ」
と言われます。だから「便利ですよ」と訴えるこのシフトレバーのような部品は、己の存在価値を貶めているような気がしてなりませぬ。
まあそういう細かいこと言うプリミティブ・オタクはMT買いなさい、てことでしょうけど。911はまだMTを用意するだけ良心的かな。
シフトレバー操作というのは、ステアリング操作、ペダル操作と違って操作そのものの精度があまり必要ではなく、つまり「思いっきり」「力いっぱい」「勢いよく」できる操作なので、きもちいいんです。
「なんかこれ欲しいなあ」
とか思うポイントって、意外にこういうとこなんじゃないかと思います。
雄々しく野太く勃ってて手触りがいいレバーを、上下左右に勢いよく振り動かすとなんだかアガってくる、とかそういう。
posted by 犀角 at 09:15| クルマ