2019年04月19日

情熱は、たまに爆発させるもの


チャンピオンズリーグ2019QF
マンチェスター・シティ 4-3 トッテナム・ホットスパー
(トータル4-4、アウェーゴールでスパーズ勝ち抜け)

 ドラマまみれの撃ち合いで、起き抜けに後追い視聴したんですが朝から大興奮しました。


 流れの解説はこの記事がわかりやすかったです↓
https://www.footballchannel.jp/2019/04/19/post318272/

 乱打戦に持ち込もうとするスパーズ・ポチェッティーノ監督に対し、シティのグアルディオラ監督が後手を踏んだ、という論調です。

 そうも見えますが、僕はペップという人は、
「最高のサッカー・システムを築き上げる」
ことに情熱を傾けすぎる人だと思います。実際試合前には、
「4冠を取るためにやるんじゃない、自分たちが築き上げたサッカーをやるだけだ」
と公言しています。だから相手が何をどうやってこようと、こちらはこちらの思う絵を描く。
 シティの4-3-3は通常であればアホみたいな破壊力を発揮し、たとえば結果は1-0でも90分観戦してれば「シティ圧勝」としか思えない試合もままあります。
 そんなシティ&ペップに対し、追い詰められたポチェッティーノは「普通にやってちゃダメだ」と後ろを見ないフルスロットルの勝負に出た。

 この「勝負に出るべき」か「いつもどおり」かは常に難しい問題で、理屈としては「いつもどおりが最強」のように常日頃から仕立て上げておく、ことなのでしょうが、でも人間というものは気合で平気で2割増し3割増しの力が出るもので、「いつもどおり」にするとその2割3割を捨てることになる。
 といって、
 カーンとテンションカチ上げて熱を上げて場をワヤクチャにして勝つ、それは観ていると燃えるし楽しいし感動もするし、でも長くは続かない。
 リヴァプールを率いるヘヴィメタル・クロップだって、ドルトムント時代、2年ほど華やかな勝利が続いた後、降格圏に沈んで藻掻いたもんです。
 あとはいま無職のジョゼ・モウリーニョも選手の能力を極限まで引き出すのが巧い監督ですが、だからか一旦栄華を極めるとチームがカスカスになっちゃってすぐ多臓器不全を起こし、クビになる。

 とはいってもですね。
 スポーツの本質が
「やらんでもええことをわざわざやるお祭り(あるいは賭け事)」
である以上、常に「賭けに出て」勝つか負けるかはその時次第、というメンタルを保持し続ける必要は、あるかもしれないな、とこの試合観て思いました。
 ポチェッティーノはシティにボコボコにされてひっくり返され、4-2と勝ち抜けを絶たれたところで傷んだ守備的MF(シソコ)の代わりにセンターFW(ジョレンテ)を入れるという賭けに出た。
 そして勝った。
 そのジョレンテがなんでもないCKからムリクリ腰のあたりで捻り込んで、4-3にして勝ち抜け状態を引き戻した。

「1クールのレギュラーより1回の伝説」
とは江頭2:50さんの名言ですが、おそらくスパーズのファンはこのジョレンテの1発(とソン・フンミンの2発)を何十年ものちのちまでウットリしながら語ることになるでしょう。
 ぼく知ってる。大阪に住んでると未だに34年前のホームラン3連発の話聞くもん(笑)
 なんというコスパの良さでしょう。
 それはそれでとても幸せなことで、むしろたまにしか起きないからこそ長い間しゃぶって楽しめるといえなくもない。

 マンチェスター・シティは大物投資家が金だけ出し、実績と見識のあるディレクター陣がチームをまとめ、補強面でもマーケ面でもソツがなく、そして率いるペップは疑うべくもなく世界最高の監督、選手たちも各国代表の極めて優秀な選手たち……と驚くほどの優等生なのですが、この大一番でエティハドは満員ではないそうで、それはなぜかと言えば、その、
「うおりゃぁあ!」
という「熱」が足りないのかもしれず、もうほとんど最高のペップがもし学ばなければならないところがまだあるとするなら、己の築き上げてきたものを信頼するばかりではなく、時に、
「殴られたら殴り返す」
という野蛮さを発揮する、点ではないかな、となど偉そうに思った次第です。
 ジョレンテに殴られた瞬間、サネとマフレズと突っ込んで5トップでもう1点獲りに行くとか。
 それで負けてもファンは許してくれる。

 対するポチェッティーノはかっこよかったわけですが、不運にも次が勢いに乗りすぎてるヤング・アヤックス。向こうも久しぶりの4強で「シティじゃないんだ!ならイケるかも!」と盛り上がってるはず。
 これ見ものですよ、裏のバルサvリヴァプールより見ものかもしれない。
 楽しみです。
 あ、いや、その前に傷心のシティとリーグ戦やるそうなので、まずそこで変なトラウマを負わないように気合入れ直すところからかな。

 ユヴェントス、バイエルン、ちょっと前までのユナイテッド、国内で無敵の存在が欧州の舞台に出るとさほどでもないのは、この「野蛮さ」みたいなものが足りなくなる、なぜならそれを無くすことこそが「強くなる」ことの本質だから。
 Rマドリーが欧州で強いのはやはり、バルセロナという不倶戴天の敵がリーグに居て、2回のクラシコを毎戦「他はともかくこの試合だけは」という内なる「わけのわからないもの」を発揮するチャンスがあるからではないか、と思ったり。

posted by 犀角 at 20:36| 雑記