2019年10月31日

マツダ3/CX-30 試乗(マツダ)


 乗ってきました@いつものディーラー。
 やっぱりクルマは乗らんとわからんもんですね。




 店頭にはCX-30とマツダ3が並んでまして、どっちもカッコいい。

 まず30の1.8ターボディーゼル。
 30の塊感はぜひ現物をご覧いただきたい。写真・動画では伝わりづらい。こう、四隅(八隅?)の角が丸められたでっかい粘土の塊みたいなのがドーン!とある感じで、サイズ的にはたいして大きくないのに、存在感があります。
 逆に「おっ、ゴツいな!」と思って室内、特に後席に乗ると「……あれ?」と思うぐらい。いや、サイズ相応の普通サイズなんですけど。

 で、走り始めるとわりとおっとりしてて、CX-3で試乗した経験のあるエンジンなんですが、もっとゆるゆる回す感じ。おそらくセッティングがCX-3や後述するマツダ3とも変えてあって、SUVらしくちょっとダルめなのかも。ハンドリングも同様で、キビキビというよりはスムーズでストレスない感じ。
 車体寸法やパッケージングもそうですが、「ど真ん中狙うとこんな感じですよね」感が結構あります。どこかで「新しいファミリア」という表現を見たのですが、その言い方がピッタリかも。

「……いいんだけど、マツダといえばZoom-Zoomでは……」
とモヤりながらマツダ3のターボディーゼル(上記と同じエンジン)に乗り換える。超カッコイイ例のハッチバックです。
 で、走り出し駐車場を左折しながら段差降りて出ていくところから、
「ああこれこれ」。
 軽やかでスポーティ、踏めば応える加速感、ハンドル拳一個傾けるとノーズがキュッと入るクイックネス。マツダ車はこうでなくちゃ。
 ということで上記の感想、3がいままでのマツダ風で、30はもうちょっと敷居低くして間口広くするつもりなのかな?と。
 スバルのフォレスター/インプレッサの関係でも感じましたが、もうこのサイズでも
×ハッチ(セダン)が標準車でSUVがスペシャル(走破性優先)
○SUVが標準車でハッチ(セダン)がスペシャル(スポーティー)
という時代ですわ。

「個人的にはこっちだなあ!」
「でしょう? 30見に来たお客さんで3買う人多いです」
「マジで。ガソリンも乗せて〜」
「いいですとも」

 ということで3の2000のガソリン。これもハッチ。
「ああこれこれ」パート2。
 何度乗ってもマツダのクルマはG(ガソリン)がエエわ(笑)
 重くてトルクのあるD(ディーゼル)で車体もサスも基本設計して、そこに軽くてトルク小さいGを載せると、非常にノーズが軽くて前後重量バランスが良くて、いいクルマになるんですよねえ。
 歴代のインプレッサや往年のスカイラインが
「いちばん速いヤツか、いちばんローグレードがお得」
と言われるような。友人の乗ってたR31の4発1800が良くてねぇ……

 室内を観ても、ホイールベース(前後車軸間距離)が長い3の方が後席足元は数字上はわずかながら広く、着座姿勢も低めだからか感覚としても広めに感じます。キックアップしてるウィンドウ・グラフィックスから「閉塞感が」「左斜め後方視界が」と注文つける記事も多いですが、ちょっと前まで日本には2ドアクーペや4ドアハードトップがウジャウジャあって、それらに比べりゃ遥かにマシ、いや、僕の今乗ってるDEデミオと比べても断然広々。
 ちょっとこんな短期間にSUVとかミニバンに慣れすぎちゃうか。
 こんなもんやでクルマの後席って。

 という感じで、30見に行ってすっかり3の方がお気に入りです。
 担当セールス氏

「30年この仕事やってきてますが、3はイチオシです」
「どういうところが」
「なんていうんでしょう……全体のバランス?」

 SUV全盛の昨今でもやはりクルマの王道はCセグメントのハッチ/セダンつまりいわゆる「ゴルフ・クラス」で、ここを外してると炒飯の不味い中華屋、マグロの不味い寿司屋と見下されてしまいます。
 そこに加えて、上でチラッと書きましたがCセグメントでもSUVを用意するのが必須になってきて、そっちを念頭において設計すると、つまり重く大きな車体・エンジンを支えられるポテンシャルのある設計に、一回り軽い車体・エンジンを載せることになるので、できあがりが贅沢になるんです。
 という理屈で、このSUV流行りの昨今「だからこそ」このクラスはハッチ/セダンがお買い得ではないでしょうか。
 ぶっちゃけSUVの魅力、積載性や走破性が物を言い出すのはミドル級から上、マツダならCX-5、スバルならフォレスター、トヨタならRAV4から、という気もします。世界的に観ても「SUVなら」そこが一番のボリュームゾーンですしね。

 永遠のライバル、スバル・インプレッサと比べるとキャラが好対照で、あちらは広い室内・ルーミーな視界・スポーティーなエンジン・AWDで「頼れるメカを操ってる感」がすごくします。こちらはマツダのキャッチコピー「人馬一体」の通り、もっと自然に身体に馴染んで一体となって走るような感じ。むかーしのポルシェは「ポルシェを着る」などと表現されたものですが、そういう。

 でも30も、同クラスで比べると商品力は高い。
 なんつっても内装が圧倒的。このクラスだとライバルはトヨタ・CH-Rかホンダ・ヴェゼル、スバル・XVあたりになると思いますが、内装に限れば比較にならないので、もし欲しくてかつ家人を納得させたいなら、Lパケ以上のグレードのある店舗を探して(マツダのHPで簡単に探せます)、そこに試乗に行くといいですね。
 HVに対してはディーゼルの燃費と燃料単価-20円で「金に直せば実質同等」で説得だ。

「……マツダ頑なに細長いディスプレイですよね」
「ぼくマツダのそういうとこ好きなんですよ」
「僕もナビは全部スマホですよ。もう車載ディスプレイの地図をガン見することなくなっていくだろうから、『センターに大画面』というのは違うと思うなあ」
「ぼく最近お客さんが新車買われる時に(オプションの)ナビカード、(買われるのは)半々ぐらいですね」
「マジで」
「この間からCarPlayとAndroid Autoに対応しましたし。接続すればナビアプリがそのまま出るので……」
「スマホの方がいいよね」
「地図もずっと最新ですしね」

 画面そのものはバックカメラとか360度ビューとかあるので、必要なんですけどね。

 ということで、マツダ3とCX-30、よく似てますがキャラは全然違う、というか変えてある、ので、試乗大事です。あまり差を感じないようなら30で、「3の方がいい!」と思ったら3で。あたりまえか(笑)
 両車共にこのあと夢の?新エンジン「SKYACTIV-X」が投入されますが、価格が非常にお高いので、もし欲しまってしまったらガソリンかディーゼル、買っちゃっていいと思います。GかDかはお好みで。スッキリ感・軽快感がお好きならG、中間加速の気持ちよさと足の長さを取るならD。価格差は燃料費以外にもリセールバリューでも取り返せるので、好みでいいと思います。

 僕なら?
 マツダ3、ハッチ、ガソリン2000、AT、赤、Lパケ(バーガンディはやりすぎだと思う)、360ビュー(mOP)安い方のマットとETC(dOP)で諸経費諸々入れて318万円。
 えっ、ファミリアが300万?
 そうですよ45歳以上の頭の中は90年で止まってるのでそう思っちゃうでしょうけど、日本だけ突出して(相対的に)どんどん貧乏になってってるのでクルマめっちゃ高く感じます。そんなもんス。むしろ国内はかなり頑張ってる値付け。
 まあそりゃみんな軽買いますわな……
 でもマツダ3、いいよ。
posted by 犀角 at 08:58| クルマ