2023年02月12日
主役とカメラ役
以下はFantiaに投稿したテキストです。
こちらにもコピーしておきます。
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大変ご無沙汰しております。
当方昨年末に二人目が生まれまして、毎日毎夜テンテコ・ダンスを踊っております。どのぐらいかというと、今年入ってから風呂2回しか入ってません。
視点、だいじですよね。
カメラの位置と画角、どこ観てるか。
わたしそれがよく動くのが好きで、自分で描く場合でもそうしがちなんですけど、一般的にはあんまり動かない方がええんちゃうか?と最近思っています。
NHKの庵野秀明監督の『エヴァ』のメイキングドキュメンタリー観てて、監督が
「アングルが決まってれば役者がアジャパーでもなんとかなる」
とおっしゃってたんです。
そういえば『エヴァ』って、あれよーく考えると最初から終わりまでシンプルにシンジくんのジュブナイルで、それをそう見せないように、凝りたくったアングルだったり、難しい言葉やわけのわからないイメージが散りばめられているのかもしれない。「ガフの扉」てなんやねん。
孤独な少年が、なんやかんやで巨乳生活力高め女子と結ばれる、という話です要は。
最近流行りというか別に昔からあるのかもしれませんが、主人公と視点役が別、というのがあるように思います。
先日完結した『ゴールデンカムイ』って主人公アシリパさんで視点が杉元。『キングダム』だと主人公政(始皇帝)で視点役が信。後者も大活躍するので主人公っぽく見えるのですが、実はもっと大きな絵があって、主人公はそっちでキーとなる存在でなければならず、といって読者が乗れるカメラが必要なので、そこに居る。
活躍はまあせんでもええんやけどした方が話作りやすいし、「そこに居る理由」がしっくりくる。
(これで失敗──というと語弊があるかも、ですがあんまりうまくいってないのが『ヒストリエ』じゃないかな)
『よつばと!』だとよつばがカメラですが、主役はあれ世界(日常)ですね。『アルキメデスの大戦』だと櫂さんがカメラで、主役は軍全体ですかね。櫂さんなんにもできないですからね。
だから最近の異世界転生もの、って異世界が主役で、異世界に放り込まれるのはカメラ役。
『ドラゴンボール』だと悟空が主人公で、カメラも悟空に張り付いてて成立する、というか逆にそうしないと成立しないから、悟飯ではどうしても成立しづらくなって悟空再登板。
このタイプと分離タイプと、ちょっと違う。
優劣はたぶん無い。
でもおそらく「この主人公に乗っかってってくれ」というのが難しくなってるのかもしれないですね。ギャルゲー全盛期の頃から、つってももう20年以上前になっちゃうんですけど、「主人公のキャラの濃さはどの程度か」というのは難題で、あんまり濃くすると「コイツには乗れない」と言われるし、あんまり薄いとヒロインとお近づきになるリアリティが薄くなる。
そうそう、それでいえば『源氏物語』の光さんは、カメラ役ですよね。一見主役っぽく見せてますがヒロインを撮るカメラ。特に彼がゴリゴリ状況を切り開くわけでもないんです。作者の意図するシチュエーションに放り込まれて、そこで出会う女子を美しく切なく撮る。
大変やな。
どっちでもいいかと思うのですが、ただ、読者が
「ああいまここ見てるな」
とわかりやすいカメラ設定がだいじなんだろうな、と改めて思う次第です。最前も申しましたが、私いろんなところを見れるのが好きなもんで、ついつい余計に動かしがちです。動画でいうとカット割り多すぎ煩雑すぎ。
ちょっと整理していこうと思います。
posted by 犀角 at 00:00| 雑記