2010年12月01日

映画「SPACE BATTLESHIP ヤマト」


興味がある人はぜひ観に行ってください。
今日はネタバレ全開でーす↓


あのね。
デスラーが出ないの。
もちろんスターシャも。
それを「ヤマト」と言っていいのか(笑)

事前に試写観た人の感想が非常に歯切れが悪くて、
「おもしろかった!」とか
「これは駄目だ!」とかじゃなくて、
「いいヤマトだ」とかね。
わけわからんわけですよ。
それ、観たらわかります。

フィルムとしてはめっちゃ頑張ってると思います。
「邦画でSF」って
「カレーにネギ」ぐらい相性悪いものだと
我々は「さよならジュピター」を観つつ
思い込んでるわけですが、
今回はそれらトラウマを払拭するほどの出来栄え。
「やればできるやん!」
という感じで、
セットの作りもセンスも、
CGの作りもセンスも、
もちろん細かいツッコミ入れれば
入れられるんですけど、
(たとえば主砲の回り方はあまりに軽々しい)
いやここまでいけてれば全然okですよ、と。
よく観るとできるだけCG時間減らすように
コンテ組まれてて、
可能な限り少人数芝居で済むように
カット割りされてるんですけど、
それも能力のうち。
今回一番の収穫は
「国産でもこの手の映像は十分できる」
という自信を作り手も客も
持ったことじゃないでしょうか。

また、芝居もかなりいい感じです。
木村さんはいつもの木村さんで、
「古代感」は全くと言っていいほど無いのですが、
でも大丈夫。
十二分にヤマトのリーダーでした。
あ、やっぱりこの人スーパースターだ、と。
そういうもんなんですよね、役と役者の関係って。
いい役者はその役のイメージを
自分で塗り替えてしまう。
逆に緒方直人(島)さんや
柳葉敏郎(真田さん)さん達は
その役っぽく演ってて、
これはこれで素敵。
やはり名優は違いますなぁ。
佐渡先生や相原の女性化も
全然気になんなかったですよ。
南部役の矢柴さんの南部感がすごかった(笑)
あぁ南部いつもこんな感じ、という。
黒木メイサさんの森雪はレーダー担当ではなく、
ブラックタイガーに乗って暴れ回る
強気な女性、という大変更なのですが、
これは脚本上致し方無しというか、
そうでもしないと森雪の出番作れないですからね。
そうなると古代とのラブの説得力落ちるし。
これも全然大丈夫。

ということで、
めっちゃよく出来てるんですよ絵と芝居は。
でも、
デスラーは出ない。

ええ、今回の「敵」は
「ガミラス星人」という宇宙人ではなくて、
「一にして全全にして一」の
意思生命体みたいになっちゃってて、
彼らが自分たちに住みやすく地球を改造しようと。
もちろん人型ではないです。
それが物語の中盤で判明するんですけど、
その瞬間超腰砕け。
いや、最初のね、
ほら、古代兄が沖田さん守って散るところ
(原作では生きてるんですけど)
あるでしょう、あそこで
「ついこないだとデータ違います」
みたいなこと言ってて、
もちろん戦闘艦のデザインも
零士先生のあんな感じ(やそのリファイン)
ではなくて、
有機的なぐちゃぐちゃした感じので、
なんかイヤーな予感はしてたんですけど……
抜本的改変でした。
いや、
キャスト発表になった時、
「あれっ、デスラーは?」
「言わなくても伊武さんに決まってんじゃん」
「顔青く塗るとギャグになるから、
 なんかひとネタ仕込んでるんじゃないの?」
などと言ってましたが
出なければしょうがない。
一応、
その集合体の好戦的な方がガミラス、
(そうでない方がイスカンダル)
でその意思のことを「デスラー」と呼んで、
その声を伊武さん当ててて、
律儀に最後T1000みたいな結晶体で
古代たちの前に現れてくれる時は、
なんとなーくアニメのデスラーっぽい姿なんですけど、
でも。

そこで30年ぶりぐらいに
ハッと「ヤマト」のテーマを思い出したんですけど、
それはやっぱり「愛」なんですよね。
1年まるまる
(現実時間は半年・26回ですけどね。
 あれ26回なんですよ!!)
掛けて
戦って戦って戦った相手、
デスラーおよびガミラス帝国も、
実は滅び去ろうとしていた人々が、
必死で生き延びようとしたその結果、
地球を攻撃していた、
と、
自分ガミラス星くちゃくちゃにして
デスラーを宇宙に放り出してから
古代は気づいて、
「あぁ俺達に必要だったのは
 戦うことじゃない、
 愛しあうことだったんだ」
といって銃を捨てる。
あそこがピークですよね。
まおなじみと言えばおなじみなんですけど、
異文化が衝突する時に
正義も悪もなくて、
ただわかり合えてないだけなんだと。
そこがですね、
だからこの映画では、
まるまるカットされてるんです。
いや、正確には構造は同じなんですよ、
でもモヤモヤの結晶体CGと、
顔色悪くてもちゃんと人間と、
どちらが感情移入できますか。

となると、
単純にヤマトの地球防衛戦でしかない。
まあ、原作も映画版2作目「さらば」は
そうなので、
それでいいじゃんといえばそうだし、
映画なんだから尺が決まってて、
その中で綺麗にまとめるには、
ガミラス側に個性持たせると
(もちろんスターシャなども)
詰め込み過ぎでどうにもならないだろう、
というのもわかります。
僕が最初の「ヤマト」の映画のシナリオ書け、
と言われても、
こうしちゃうかもしれない。
でも……

観終わってコーヒー飲みながら、
「なんでああしたんだろう、
 他になんとかできなかったもんだろうか」
と考えました。
もちろん何も浮かびませんでした。

Z32型フェアレディZが、
ひさしぶりに屋根を落とした
オープンモデルを作ると。
一報聞いたとき
「お、あのナイスデザインで
 オープンにしたら、
 さらにカッコイイだろうなぁ」
と思って、
できあがってきたものを見れば
「……?」
つまり、
Z32のスタイリングの魅力は
「実は」あの丸いルーフにあって、
あれを落とすとZ32では無かったんです。
それは(客は)みんな、
切り落とすまでわからなかった。

これも同様で、
「ヤマト」っていうのは
デスラー、いや、人間と人間が、
「住む土地を巡って争いあう」
もう少し言えば
「文明の衝突」
という極めて普遍的で、
人間であるならばDNAに刻み込まれている
まさに物語原型、
それを描いた作品だった、んです。
だから、
誰の胸をも打った。
そこがかなり落ちてるわけです。

ただ、そうはいっても
「ヤマト」の他の魅力、
誰もが燃える「祖国防衛戦モノ」であり、
誰もがロマンを感じる「漂流モノ」でもあり、
また単純にスペースオペラとしても
血沸き肉踊る、
そこはちゃんとあって、
しかもすごくちゃんとできてるわけですから、
「ヤマト」知らないor思い入れの無い人だと、
十分楽しめるんじゃないかと思います。
フォローとかではなくて。

山本が取り残されそうになるエピソードとか、
齋藤&真田コンビの散り方とか、
もちろん沖田艦長の「あの」セリフもございます。
スタッフがホントに
「ヤマト」が好きで、
かつちゃんと作ろうとしたのは
よくよくわかります。
ミーちゃんもちゃんといるし、
佐渡先生のお酒は透明瓶だし。
コスモゼロ、ブラックタイガー、
(劇中では名称「コスモタイガー」ですが
 デザインは1作目のブラックタイガーです)
イメージ損なわないリファインで、
すーごいカッコイイ。
アナライザーの出し方、
あれはファンサービスですよね(笑)
声はもちろん緒方賢一さん。

だからこそ、
「ここまでちゃんとできてるのに」
とイチゴの乗ってないショートケーキを
食べたような気分。
美味しかったし、
ちゃんとできてるんだけど、
これは僕の食べたかったものと
少し、しかし決定的に、違う。

スタッフの頑張りっぷりを画面から感じるに、
興業的には成功してもらいたくもあり、
また激励と労いの言葉を贈りたいです。
いやぁ、冗談抜きで
ここまでやれるなら、
そしてこれが成功すれば、
実写「ガンダム」だって
全然夢じゃないよ。
いやホントに。
あ!そうそう、
シャア出てこない「ガンダム」想像して。
キツイでしょ?
それ。
あと全部描いてあって、
スレッガーさん特攻してセイラさんに平手打ちされてミハルとラブコメしてアッガイが体育座りして12機のリックドムが3分で全滅しても、
「これ『ガンダム』か?」
ってなるでしょ?
でも初めて観る人だったら、気にならないですよね。

ということで、
興味があるなら観に行ってくれ。
そしてモヤモヤを共有しようぜw
posted by 犀角 at 22:02| Comment(9) | コンテンツ
この記事へのコメント
はじめまして(^-^)さっきヤマト見てきた通りすがりです
私はヤマトを深くは知らなくて、キャラクター位は認識してる程度です。だからかなり楽しめましたね。メイサちゃんが気の強いパイロットという設定もツボ(^-^)
ストーリーも入りやすかったです。バトルシーン多すぎると飽きてしまうので程よかったかな。
Posted by ぽめ at 2010年12月06日 13:53
まだ見に行けず、もんもんとしている
リアルヤマト世代です。

デスラー誰がするの?と探していて
お邪魔しました。

結晶体が作ったのが、デスラーとスターシャの
設定って、松本零士原作の小説でありましたよね。なるほどそうきたかと思いました。
この小説では、島が洗脳(というか異性人に体を乗っ取られて)ヤマトの水に毒を入れるお話もあったはず。
でも伊武さんの声でうれしい。
絶対見に行きます。
Posted by 島大好き at 2010年12月08日 17:58
はじめまして!
ジャストミートヤマト世代です。

ガンダムも車も好きなのでまことにわかり易いたとえ(シャア不在のガンダム、Z32)でした。

多くのヤマト(今回)の映画評を拝見しましたが貴殿の評が私と一番近かったです。

松本零士氏のヤマトでは宇宙の大きさ、暗さを感じることができましたが、今回のヤマトはそれを感じることができませんでした。

なくてはならないスターシャ、デスラーの省略、と前述の「宇宙観の無さ」の2点が大きな違和感でした。

他の細かい突っ込みどころは、
・便利な秘密兵器をあっという間に発明してくれる真田さんらしさがなかった。

・ガミラスはなぜ波動砲の「蓋」を起爆させなかったのか?あれが爆発したらヤマトも終わりだったのに。

ラスト直前のガミラスが地球に最後の攻撃をするところで、ヤマトはえらくもたもたしてましたが、あれで緊迫感がなくなり最後の最後で映画全体が台無しでした。


Posted by ヤマト世代 at 2010年12月09日 05:35
>ぽめさん
そうですね、あまり知らない方の方が楽しめてお得だと思います。普通のSFと考えると、艦橋ホームドラマ(褒め言葉)も適度にあって、よかったと思います。

>島大好きさん
島好きなら緒方さんの島はなかなかいいと思いますよ〜。

>ヤマト世代さん
はじめまして。最後のモタモタは、でも「さらば」でもそうだったような気がしますw まあそのへんは「映画」ってことで。
確かに「遠い旅をしてる感」も1本目TVシリーズの特徴なのですが、あれはやはり半年掛けて毎回の終わりに「地球滅亡まであと〇〇日」を出さないと得られない感触ではないかと思います。

むしろ短い映画の枠の中にTVシリーズと「さらば」の美味しいところだけ詰め込んでて、巧い作りだと思いました。これがヒットして、腕利きの新世代アニメーター達が原作リメイクでもしてくれると面白いかも。
Posted by ながたさん at 2010年12月10日 16:38
>ガミラスはなぜ波動砲の「蓋」を起爆させなかったのか?

推定; 爆発物が中に無いからヤマトの猛攻撃を受けてもそれを突き抜けて、ヤマト艦首までたどり着き、波動砲口に蓋出来たのでは?
(本当に不発弾だったらがっかりです。)
Posted by k2hirano at 2011年01月05日 23:58
やっと観に行きました。
「ヤマトであってヤマトでない」に納得です。
キムタクファンなので、古代がキムタクなのは
まあ良かった。でもでもでもでも・・・・
原作の台詞がふんだんに使われているのに
プロセスとなるstoryが飛ばされて台詞がいきてこない。真田さんが古代に「弟と思ってた」ってそんな絡みあった??せめて斉藤の絡みシーンでなく真田さんと守との後悔を語るシーンがあれば・・。
ワープばっかりで戦闘シーンが少なく大した苦労もなくイスカンダルに着くし。
島好きの私としては、緒方直人は「有」なので
許せたし、佐渡先生もみー君もいたし。
でもやっぱり欲求不満だー!
同じ配役で、もうちょっと原作に近いstoryが見たいです!!
Posted by 島大好き at 2011年01月12日 17:41
おつかれさまでした。
そうですね、頑張ってるのはよくよくわかるのですが、
ちょっとしたところで「頑張ったからこそ」の
難しいところがあるんですよね。
真田さんのあのセリフはみんなそう思ったと思いますw
でも、これをとっかかりに
「ヤマト」以外にも我々世代の親しんだ名作が
映像化されたらいいな、と思います。
Posted by ながたさん at 2011年01月14日 00:48
私は結局見に行きませんでした…(;;;)
私メカファンなんですけど、ネットでこの実写版ブラックタイガーのデザイン見て失望したから… まあ画面で見れば映えてカッコ良く見えるんでしょうけどね。
…そもそも何でブラックタイガーなのか!??コスモタイガーU出せよ!!

…ところで、最近「ハリウッドでもヤマトの映画化企画進行中」なんてよく聞きますけど、実現まで漕ぎ付けると思います!??
Posted by 通りすがりのヤマトファン at 2011年02月27日 10:08
僕も子供の頃(リアルタイム)はコスモタイガー2の方が
かっちょいい、と思ってましたが、歳を取って
ブラックタイガーの味わいがわかってきましたw

ハリウッドはどうでしょう?
「祖国を救うために英雄が旅立つ」
という神話を持ってない
(旅立った先の土地がアメリカ)という
地球上唯一の人々ですから、
もしうまくできたとしても客入りが悪く、
逆に彼らに合わせると
「インデペンデンス・デイ」の亜流みたいなのに
なっちゃうだけのような気もせんでもないです。

……その方があっさり面白かったりして……

とりあえずミレニアム・ファルコンみたいな
ヤマトは見たくないですねぇw
Posted by ながたさん at 2011年02月27日 21:47
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